YMU-house
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Concept
−原風景と暮らしの交差−
三重県亀山市に計画したこの住宅は、東海道宿場町の一つである関宿からほど近く、鈴鹿山脈の尾根に広がる田園地帯が徐々に住宅地に変わりつつあるエリアに位置する。
茶の生産が盛んなこの地域は、足元に広がる茶畑と鈴鹿山脈を望む雄大な景色が特徴で、冬には季節風「鈴鹿おろし」が吹き下ろし、夏は比較的過ごしやすい気候に恵まれている。
敷地は間口12m、奥行き40mほどの細長い形状で、施主夫婦が両親から受け継いだ土地である。
接道部分には家々が建ち並ぶものの、奥には畑や林、並木道が残されていた。
周囲に新たな建物が増える可能性は低く、広がる風景を独占できる静寂な環境が広がっていた。
このような敷地条件を活かし、続く畑や木々の風景を借景として取り込み、田園風景の記憶を受け継ぎながら自然を生活の中に内包する建築を目指すことにした。
施主夫婦は仕事の傍ら製作活動を楽しむアーティストであり、夫は鉄鋼技術を生かした自転車を製作し、妻は裁縫で人形などの作品を手掛けている。
生まれたばかりの息子がおり、将来的には4人家族を想定していた。
この背景から、家づくりにおいては、アートやクリエイティブな活動を柔軟に受け止める余白のある空間が求められた。
また、周囲の自然を存分に味わいながら、ものづくりと生活が一体となるような建築が必要であると感じた。
設計にあたっては、茶畑の原風景を壊さない透明感のある建築を目指すべく、建物を三つに分割し、それぞれのボリュームをできるだけコンパクトに抑えた。
建物同士の間に隙間をつくり、風景が建物を通りぬけるような構成とすることで、敷地をまたぐ風景の連続性を維持しようと考えた。
プランとしては、南棟に寝室や水回りをまとめ、中央棟にリビングダイニング、北棟にキッズスペースを配置し、それらを繋ぐようにデッキと透明の屋根をかけてサンルームとした。
サンルームはドアを開放することで大地と連続し、周囲の景色を繋ぎながら自然の気配を家の中に取り込む役割を果たす。
日差しや影の動き、風の抜けなど、自然の変化をダイレクトに感じられるこの場所は、洗濯物を干したり、ものづくりを楽しんだりと、日常生活と創作活動の両方を柔軟に受け入れる。
五感を研ぎ澄まし、日常の中に入り込んでくる自然の音や香りを楽しみながら過ごせる場所である。
今回の計画では、周囲に広がる原風景のコンテクストが暮らしの中に透過して交わる、風通しのよい建築の佇まいを模索した。
生活動線を南北軸と捉え、それを横切るように自然環境が交差する空間をつくることで、家の内外を行き来するような新たな体験を提供し、暮らしの中に風景が溶け込むことを期待した。
この家においては、自然の移ろいに呼応し、絶えず変化する創造的な暮らしが育まれていくであろう。
[概要]
用途:専用住宅
立地:三重県亀山市
敷地面積:468.75㎡
建築面積:104.34㎡
延床面積:104.34㎡
施工:株式会社大野工務店
家具:近江家具商人
建具:合同会社iei
写真:ToLoLo studio
[spec]
use : house
location : Kameyama-shi, Mie
site area : 468.75㎡
building area : 104.34㎡
floor area : 104.34㎡
contructor : Ohno Co.,Ltd.
furniture : ohmi furniture
door : iei studio
photo : ToLoLo studio